相場格言

2008年04月07日

是枝周樹社長に「経営への思い」を聞く

ミロク情報サービス<9928>(東2)売買単位500株

公認会計士事務所とその顧問先企業に
財務・会計・税務システムを開発販売


■平成23年3月期に連結経常利益30億7000万円を目指す

是枝周樹社長 ミロク情報サービス(9928・東証2部)は、税理士・公認会計士事務所約8400所と、その顧問先企業を中心とする約1万7000社の企業ユーザーに対し、財務・会計・税務システム等の開発、販売や各種サポートサービス、経営情報サービスなどの経営支援サービス事業を展開している。2007年(平成17年)11月に会社設立30周年を迎えたが、同社のこれまでの歩みを紐解くと、倒産に巻き込まれそうになったり、決定していた株式公開が延期となったり、決して平坦な道のりではなかった。創業者は現会長の是枝伸彦氏。2005年4月に代表取締役社長に就任した是枝周樹氏は会長の長男。「小さい頃の父はとにかく忙しい人で家に居た記憶がない。あとを継ぐ気持ちは全くありませんでしたが、仕事をやっているうちにおもしろさや奥深さを感じ、今は、そのことに気づかせてくれた父、そして私を育んでくれた多くのステークホルダーの皆さんに恩返しをしたい気持ちです」という是枝周樹社長に「経営への思い」に対するインタビューを交え、同社の歩みと展望を取り上げた。

■大型コンピューターのバッチ処理が一世風靡

――是枝伸彦・現会長(以下、会長として紹介)は、同社の母体となる『ミロク経理』の専務取締役だったとお聞きしています。
是枝社長
 そうです。ミロク経理と計算センター運営の『JACOS』が共同出資で『ミロク情報サービス』を1977年11月に設立、計算センタービジネスを主力としてスタートしました。設立時から会長は非常勤取締役として経営に参加、1979年から常勤取締役となり実質的な代表者として動いていました。計算センター方式とは会計事務所が端末機で入力した顧問先の日々の仕訳データをセンターの大型コンピューターでバッチ(一括)処理することにより計算処理手数料を得る受託ビジネスです。紙テープで入力し郵便か宅配で計算センターへ送り、データが戻るまで最低3日かかり、修正が入ると、さらに時間がかかりました。それでも当時のオフコンは入力の制限が多く、処理スピードも遅いため計算センターの方が上で、さほどオフコンを脅威とは感じていませんでした。

――ところが、同業他社が財務専用のスピードの速いオフコンを投入してきたのですね。
是枝社長
 ええ、目に見えて計算センターの利用客が減り、オフコンを手がける必要に迫られました。しかし、パートナーの『JACOS』はオフコン進出には乗り気でありませんでした。このため、1980年にJACOSと共同出資を解消、ミロク情報サービスはミロク経理の100%出資の子会社となり、さらに同年11月に会長がミロク経理より全ての株式を買い取り代表取締役に就任しました。ここで、ミロク経理とは資本関係が全くなくなり独立した企業となったのですが、会長が気に入っていた社名をそのまま残したことが後日、ミロク経理の倒産に巻き込まれることになってしまったのです。

■安価で優秀な機能を備えたオフコンが大ヒット

――この点はのちほど改めてお聞きしますが、独自でオフコンに進出されたのでしょうか。
是枝社長
 手がけました。しかし、やるからには、「家電感覚で高齢者でも簡単に使えなくてはいけない。競合他社より安価で便利なオフコンを開発して世に出せば必ず追いつき追い越せる」という強い会長の思いを持って臨んだのです。計算センタービジネスの終息をはかりながらオフコン事業を立ち上げる事業に着手したのです。1980年夏、わが社初のオフコン「ミロクエース・モデル100」を開発・販売しました。当時、財務専用オフコンは200万円以上だったのですが180万円に価格を設定。しかも、年間データ一括保有型に加えて漢字印刷が可能という優秀な性能を備えたものでした。

――一括データ保有型とは。
是枝社長
 一般のソフトは月次更新方式といって、いったん締めると過去に遡って更新ができませんが、当社のものは追加のデータを入力更新しても正しく月次決算書を作成できるというものです。また、それまでは勘定科目や商品名を入力するにはコード化された4ケタ程度の番号を打ち込まなくてはならずミス発生の原因となっていました。"エース100"では、勘定科目名が刻印されたアイテム・キーボードを採用したことで、たとえば「現金」という刻印されたボタンを押すだけで入力が可能という画期的なものです。2年で2000台を超える専用機を販売し会社は一気に拡大しました。さらに、1983年には会計事務所顧問先企業向け専用機「プロオフコン経理MJSモデル280」を投入。会計事務所と顧問先企業が同系統のシステムを活用することで双方の業務効率アップに貢献できたことにより販売は絶好調でした。

■かつての親会社が倒産、厳しい状況から脱却

――ところが思わぬ騒動に巻き込まれてしまった。
是枝社長
 好事魔多しですね。かつての親会社ミロク経理が300億円以上もの負債を抱え倒産してしまった。1980年(昭和55年)以降、資本関係はなく提携も取引もなかったのですが、社名が同じということだけで風評被害に巻き込まれ業績が落ち込みました。資本関係がなくなった時点で社名を変えることも考えられたのですが、「弥勒菩薩」に由来する社名は菩薩の心を持った優しく、社会に貢献する会社でありたいとの思いがあったため社名をそのままとしたのです。厳しい状況に追い込まれいつ潰れてもおかしくないほど落ち込みました。

――大変なご苦労と経験をされましたが、見事に乗り切られました。
是枝社長
 倒産した会社とは関係のないことを新聞で公告しようとしましたが、裏づけの取れるまでは掲載できないと断られ大変でした。しかし、悪いことばかりも続かず、1988年12月30日施行、89年4月1日実施の消費税法の特需が訪れた。消費税シミュレーションシステムを開発・販売。これが当った。納品まで3ヶ月待ちという状態で再び業績が上向きに転じた。それまでは株式上場には関心がなかったのですが、ミロク経理の倒産騒動が教訓となり財務体質強化の必要性を痛感し株式上場を目指すことを決意しました。

■上場計画が市場の閉鎖で延期に

――ところが、上場に当っても冷水を浴びせられてしまったのですね。
是枝社長
 1987年8月期決算では売上高53億円、翌年67億円、次は決算期を3月に変更し7ヶ月でしたが55億円と好成績で、さらに1990年3月期には128億円と100億円を突破しました。まさに消費税効果です。そして、店頭市場の公開が決まり、91年12月13日から入札開始、入札価格も2700円と決まりました。しかし、直前に証券界の損失補填問題で店頭市場が閉鎖され新規公開が全面延期されてしまった。翌年92年5月12日に再開されましたが、決算はやり直し、審査も厳しくなった。やっと92年7月22日に再承認を得て8月13日の公開となったのですが、入札価格は当初の価格を大きく下回る1375円、初値2000円のスタートです。

本社ビル――10周年の時は倒産騒動に巻き込まれましたが、株式公開は結果的に15周年の記念のフシ目となりました。96年には現在の新宿御苑近くに地上9階、地下1階の本社ビルを建設。そして、20周年のフシ目の97年8月に東証2部に上場されました。ところがまた同社に波乱が押し寄せる。
是枝社長
 97年に改正消費税が施行され、これに対応したソフトを開発し販売しましたが、設計段階で想定しなかった使い方をされ、欠陥報道までされ株価は連日のストップ安です。これは乗り切りましたが、根本的なことが起きていました。2000年3月期に売上高は200億円を突破し200億円企業の仲間入りをしましたが、経常利益は97年3月期の17億8000万円をピークに00年3月期には10億910万円に落ちた。原因は人員の増加にあった。店頭公開時に600名だった従業員数は800名に増加し1人当たりの生産性が低下したためです。倒産騒動に巻き込まれた経験の従業員が、上場会社になったら潰れることはないはず、という安心感から大企業病に陥っていたのです。会計をパッケージ商品にできるはずがないと言われたのを専用機で実現したことで、ある意味楽な営業をやっていたことも響いた。しかも、MS−DOSは使い勝手が良かったため、ウインドウズへの対応も遅れた。2002年3月期にはオフコン市場参入以来、初の経常赤字になってしまった。パッケージ商品である専用機を売っていた時代に営業社員に求められたのは業務知識とユーザーとの人間関係重視でしたが、ITソリューションとコンサルティング営業のできる広範囲な知識・見識が求められるように変わった。

――次は、1部上場、売上1000億円の目標をお持ちでしたね。
是枝社長
 その声も届かなくなっていました。1部上場にどんな意味があるのか、といった声が社員の間から聞かれるようになった。97年の2部上場から5年後の02年、25周年に合わせて1部上場という計画は崩れてしまった。経営者にも1部上場の意味、つまり1部上場企業となればファンドなどにも組み込まれパブリックカンパニーとしての認知が格段に違ってくる。そうした説明を語り続ける努力を怠ってきたこともあったと思います。

――もちろん、これでへこたれる同社ではありません。今再び、力強く前進されています。
 是枝社長
 もともと、当社が会計事務所システムベンダーとして出発したのは、会計事務所の先にある中小企業の存在を見据えてのことです。中小企業は日本の企業全体の90%以上。税理士・公認会計士事務所とその顧問先企業の繁栄に寄与することをミロクの社名に込めて一貫してやってきたのです。現在、会計事務所8400所、一般企業1万7000社のユーザーに恵まれています。2004年には「MJS電子証明発行サービス」を開始しました。行政が推進する電子申告の際に必要な特定認証業務の認定を受けた認証局にしかできない電子証明書(電子身分証明書)を発行するサービスであり認証局は9社、そのうちの1社が当社です。また、600万事業者に向けた中小企業ポータルサイト「海」を運営、ビジネス文書のひな型、会社定款例などの書式集を提供しています。会計事務所システムベンダーから出発し、現在はソリューションベンダーとして領域を拡大しています。

――ロゴについてお願いします。
是枝社長
 ロゴのMは人の腕、中央の顔を包み込むような丸い形の手は和の精神を表しています。

――今後の見通しをお願いします。
是枝社長
 昨年11月に中期経営計画を策定し発表しまいたが、平成23年3月期に連結で売上高222億円(平成19年3月期185億9000万円)経常利益30億7000万円(同4億2800万円)、売上高経常利益率13.8%(同2.3%)を目標にしています。




posted by 犬丸正寛 at 17:57 | 会社訪問・近況と展望

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