2008年02月23日

【業績拝見】夢真ホールディングスは多角化事業を清算、得意の人材派遣事業に経営資源を集中

夢真ホールディングス<2362>(大証へラクレス)

株価急騰の千年の杜(大2)株式保有で人気も波及
今期、営業利益率が一気に10%台突破へ向上、2円復配


売上高営業利益営業利益率配当
05.96,4993495.371.93
06.941,5548372.011.00
07.938,8312880.740.00
08.9予8,1001,05012.962.00
 (単位百万円・%、円)

 目につくのは、「売上」の変動ぶりだ。これは、積極的なM&Aによる「多角化」と、多角化戦略見直しによる「本業回帰」という流れによるものだ。企業集団状況の推移で見ると分りやすいのでグループ企業数を取り上げてみる。

・04年9月期=子会社1社、関連会社1社
・05年9月期=子会社6社、関連会社1社
・06年9月期=子会社15社、関連会社1社
・07年9月期=子会社13社
・08年9月期予想=連結子会社は夢真コミュニケーションズのみ
 (10月1日に夢真コミュニケーションズは、夢真ホールディングスと合併予定)


一時237億円の有利子負債を60億円まで圧縮
さらに今期末には40億円へ


夢真ホールディングスホームページ 売上高の急増、急減は多角化によるもの。06年9月期には多角化で子会社を増やしたことで売り上げが急増したが、今期08年9月期は多角化の清算で減少する。しかし、不採算の整理によって、営業利益は今期急回復し年2円復配する見通しだ。また、06年9月期に有利子負債は237億円あったが、07年9月期には60億円へ大幅減少、さらに08年9月期には40億円まで減少する。営業利益率も08年9月期は12%台へ急向上する。

 振り返って、同社が多角化を図ったのは、建設業に関連する事業領域である建築設計、検査、電気・空調設備、メンテナンス業務、コンサルティング業務等の機能を持つ企業をグループに取り込むことにより、建設業界へのトータルサービスの提供に取り組んでいくことだった。それ以前の同社は得意の施行図作成や施工管理の業務請負で建設業における業務のアウトソーシングを支援する事業を展開。

 とくに、「施工図」は設計者の意図を十分に織り込んで、作業工程・工法等、現実の作業に必要な情報の全てを集約し具現した詳細図。建築物の図面は「意匠図」と「構造計算図」から成っており、この両方を合わせて「施工図」と呼ばれる。海外では意匠図と構造計算図は別々の作業となるようだが、「施工図」があるのは日本だけだそうで、日本の建築物の美しいのも「施工図効果」といわれる。同社社長が大学の建築学部時代に、この施工図をアルバイトで描いていたことが同社を創立する基となっている。

撤退・清算は好判断

 つまり、建設業界のことを若い時から体験して熟知している佐藤眞吾会長兼社長は「進むことにも、引くことにも決断は早い」。公共投資の抑制で受注環境が一段と厳しくなり明るさが戻るめどがつかず、しかも原油高騰に端を発した資材価格の上昇が本格化するとの見極めから多角化の清算を昨年の早い時期に決めた。グループでのシナジー効果が期待できないと判断したためだ。
 仮に、判断が遅れていたら、サブプライム問題の浮上で売却がスムーズに出来たかどうかは分からなかった。「売り上げが無くなるのだから、経営者としてはつらかったはず。批判する投資家もいるかもしれないが、利益が回復する見通しですから多角化清算は好判断だったと思います」とアナリストからの評価の声も聞かれる。

 では気になる「子会社の売却損益」について見てみよう。撤退・清算という言葉からは多額の損失を出したかのような印象だが決してそうではない。詳細に見ると、「東亜建設技術」=2億円の利益、「夢真総合設備」22億6900万円の利益、「夢真エンジアリング」=15億2600万円の利益を出している。
 一方、「勝村建設」=4億9000万円の損失、「夢真不動産」=6億3300万円の損失、「住宅検査夢真」=1億5400万円の損失、「夢真証券」=3億1500万円の損失、「夢真アーバンフロンティア」=4億5800万円の損失、「デントハウス」=4200万円の損失、「夢真キャピタル」=700万円の損失、「エス・シージャパン」=トントン、という状況。損失の社数は多くても金額ベースでは損失どころか売却益が出ている。

人手不足が目立つ建設の現場監督者を養成して派遣

 今年4月1日には子会社の「夢真コミュニケーションズ」を合併、従来からの得意な事業へ特化する。即ち、建設業界のニーズにマッチした「人材派遣事業」(売上比率95%)と「施工図面作図事業」(売上比率5%)の2つの柱だ。人材派遣では施工の管理業務、つまり技術を身につけた高付加価値業務の現場監督者を派遣する。
 従来は建設会社の従業員が担当していたが老年化が進み若者が集まり難く、他の業界より人手不足が目立っている。現場監督者はすぐに人材育成ができるわけでないため特に人手不足が目立つ。同社では全国の大学、短大、専修学校等へのアプローチを積極的に行い新卒採用を拡大。現場に派遣できるような研修制度を確立、資格取得の促進を通したスキルアップによって定着率向上を図っている。

2012年には営業利益19億5700万円が目標

 中期目標では「派遣売上」を2012年9月期に125億6400万円(08年9月期予想比79.2%増)、同事業の売上総利益を40億8400万円(同77.4%増)、これに施工図を加えた全体で売上高130億6400万円、営業利益19億5700万円、当期利益10億7500万円の計画を立てている。

 「選択と集中の手本のようなケース」として、最近の株価は急見直しとなっており、今年1月16日に安値は46円まであったが、2月21日には一気に207円までつけた。また、業績のほかに千年の杜<1757>(大2)が、ロシアから、2012年開催の冬季オリンピック関連で黒海沿岸での人工島建設を受注したとして株価が急騰。この千年の杜の株式を夢真が55万5000株分保有していることから、含み増加と海外での現場監督者派遣にもつながってくるだろうとして人気面での支援材料になっている。
posted by 犬丸正寛 at 23:45 | 株で見る世の中