相場格言

2008年02月21日

ルシアンの野村直史社長に『経営と思い』を聞く

「62年の歴史の重みに積極性加えコモディティ・インナーメーカーナンバーワン経営を目指す」

2011年度に連結営業利益16億円(07年3月期3900万円)目指す

ルシアン野村直史社長 ルシアン(8027・大証1部)は京都に本社を置くレディスインナー、ホビー・クラフトなどを手がける老舗。6年前に就任した野村直史社長が、従来からの物つくりのこだわりに企画力を加え成長路線を打ち出した。2011年度には連結営業利益16億円を目標に国内コモディティインナーメーカーのナンバーワンを目指す。野村直史社長に展望を聞いた。

――社員の皆さんへの社長年頭メッセージで、「過去のやり方に固執し変化することを厭うのではなく、厳しい現実を直視して、新しいやり方にチャレンジすることで、自己改革に励もう」と述べられていますが、これはどのようなお考えによるものですか。

野村社長
 当社は1946年の会社設立から数えて62年の歴史ですが、手がけている製品はレディスインナー、レディスアウター、ホビー・クラフトなどの日用・実用品分野が中心です。最近はガソリン価格の値上がりなどの影響で消費が減退していますが、われわれの業界は食べ物などに比べると購入を後回しにされやすい弱い立場にあります。しかも、コスト高の要因はたくさんありますが値上げが難しく厳しい状況です。そういった中でわれわれは、「じっとガマンして耐えるのではなく積極的に攻めていかなくてはいけない。コスト高で厳しいのは他社も同じだから、正面から取り組んでいけば必ず勝つことができる、シエアを拡大するチャンスである」と強調しています。


景気、天候など不安定要因多いアパレルだが
企画開発力アップで「勝つ企業」へ


――衣料はたしかに景気の影響を受け易いですし、それに、最近は気候の影響も大きいですね。

野村社長
 アパレルは申し上げましたように、食料品のような絶対的な必需品ではありませんから、景気が悪くなると買い控えられますし、天候・気候次第で売上げに影響が出ます。このため、残念ながら08年3月期を営業利益5000万円(前期比27.9%増)へ下方修正しました。このように、われわれの仕事は水商売的な要素が非常に強いと思っています。しかし、だからと言って不安定な状態に身をまかせてはいけない。そのために何をなすべきか、新しいやり方で取り組んでいかなくてはいけません。

――御社は京都に本社を置いておられますが、京都の企業はみなさん堅実です。御社も62年の歴史はすばらしいと思いますが。

野村社長
 地味ですが物作りに対しては、「ルシアンの製品はしっかりしているから安心」と言われるくらい正面から真っ正直にもの作りに取り組んでいます。当たり前のことを当たり前にやってきた品質に対するこだわりが当社60数年の歴史だと思っています。しかし、製品に対する高い評価はいただいていますが、企業として、「負けないけど勝たない」ということではいけないと思います。

――たとえば、どのような点でしょうか。

野村社長
 売上げが伸びていないことです。このため、たとえば1株当り純資産が200円ありますが株価は100円台にしか評価されていないのは、このあたりに原因があるからだと思います。京都の企業さんは、品質に対する自信と同時に海外展開も非常に積極的です。この意味で当社も「海外売上げ」がこれからの課題だと思っています。既に、数年前から中国・上海へ店舗を出すなど種まきはやっています。また、製造の方では中国での生産比率が全体の約60%を占めていますが、現地へ丸投げするのではなく、申し上げましたように自分たちの手で、"魂をこめて100%のものづくり"をモットーに取り組んでいます。今後はベトナムなどでの製造も増やしていくつもりです。

――社長に就任されて6年ですが、経営ビジョンを再設定されました。この点についてもお願いします。

野村社長
 企業は社会においてどのように役立っているかという存在価値がなくてはいけません。われわれは、創立より60年余り、女性を美しく、幸せにするためのビジネスをおこなってまいりました。当社が社会の中での役割をしっかりと果たし、成長していくために本来行うべきことは何であるのか、「経営理念」をいま一度明確にし「経営ビジョン」を再設定しました。衣文化の向上および私たちの活動を通じて1人でも多くの女性を美しく幸せにするという「会社の目的」。魂を込めた100%のものづくりにより消費者に対し安心・彩りによる心の満足を与えることができる「ルシアンスピリット」。そして、より良い明日へ・よりよい人にという「基本的価値観」によって経営理念を明確にし、それを達成するための戦略上の判断や実践時の具体的価値基準として行動規範に基づいて行動してまいります。

――目標として、期間や数値などはございますか。

野村社長
 当社の社会における存在意義を社員1人ひとりが自ら考え、行動できる企業としてこれからの5年間を歩んでまいります。5年後には、社会・女性への貢献活動、たとえば手芸教室などのような啓蒙的なものに売上高の1%相当を還元できる会社となることを目指します。また、2011年度(2012年3月期)に連結売上高240億円(2007年3月期実績は199億200万円)、同営業利益16億円(同3,900万円)を目標として設定しました。これは、重点事業への経営資源の投入、コスト競争力の強化などにより収益拡大を図ります。重点事業としましたインナー事業、アート・ホビー事業の売上構成比を現状の50%から70%へ高めます。

レディスインナーの『パワーシェイプ』は
発売以来500万枚突破の大ヒット
昨年秋発売の『ここちロール』もいきなり10万枚のヒット


――いよいよ野村直史社長の「経営理念に基づいた戦略的経営の発進」という印象です。伝統の上に成長性が加わり、株式市場での評価も高まることと思います。これまでの推移等を拝見しますと6年前に社長へ就任された時に発売されたレディスインナー「パワーシェイプ」の大ヒットから既に成長路線経営が動き出していたと思います。そして昨年秋には「ここちロール」を発売され、これも大ヒットと聞いていますが、まずパワーシェイプはこれまでにどのくらい売れましたか。

野村社長
 パワーシエイプは01年秋に売り出しましたが、これまでに累計500万枚を突破しました。昨年秋発売の「ここちロール」は秋冬シーズンでいきなり10万枚を販売し生産が追いつかない状態です。昨今のインナー市場では身体を引き締めてラインを美しく見せるという機能性を追及した製品に対する需要が高まっています。当社の実施したアンケートでは、ターゲットとなる大人世代のニーズとして「締め付けつけない」、「着心地が良い」、「着ていて楽」というニーズが極めて高いことが分かりました。これに基づいて、「締め付けずここちよくフィットするインナー」をコンセプトとして、生地の編み方は伸縮性に富んだリブ編みに注目しました。これによって、生地幅が約3.5倍伸び、身体の形状にやさしくフィットします。綿とキュプラを併せて92%配合し、肌触りのよさと吸湿性に優れた心地よさを実現しました。

――来シーズンは、「ここちロール」はかなり伸びるのではありませんか。

ここちロール野村社長
 これから販売実績を分析し見極めた上で製造体制を考えます。これまで、営業対応力に重点を置いていましたが、今後はさらに生産力と企画力をコア・コンピタンスとします。生産力については第一にコスト、第二に納期、第三に絶対的品質に置き、単なるコストダウンにとどまらず、製品設計思想まで含めた生産改革を推進します。そして、その生産力を土台として企画力の強化に取り組み、コモディティ・インナーメーカーのナンバー・ワンを目指します。


posted by 犬丸正寛 at 16:22 | 会社訪問・近況と展望

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