株式相場を、「中長期の視点」で見詰めるところに来ているのではないか。筆者は経済指標などの数値を大切にはするが、それ以上に、古いタイプの人間だから、相場格言などによる「投資家心理」をより大切にした見通しを立てるようにしている。
人の世には、病でいうなら、症状を和らげる「対症療法」と、病気に罹り難くする「体質改善」がある。経済なら、「循環論」と「構造改革」だろう。
相場格言の『大回り3年』の循環論でいえば、2003年からの上げ相場が終わったとみている。そこのところを「小型株指数」(発行株数6000万株以下)と、「大型株指数」(同2億株以上)で紹介したい。
「小型株指数」=ボトムは2002年12月、高値は2006年2月で期間はほぼ3年。
「大型株指数」=ボトムは2003年4月、高値は1番天井が2006年4月で3年。2番天井が07年3月で期間4年。
バブル崩壊後の不況脱出のため、「政府部門」、「企業部門」、「個人家計部門」の中で、小泉政権が採った政策が、「企業部門活性化」だった。1円でも株式会社が創れ、新興市場への株式上場をやりやすくする政策だった。この結果、新興銘柄など小型株が活躍し、大型株に先行して上昇した。
そして、小型株の後を受けて上昇したのが新日鉄などの大型株である。リストラが進み、利益が出る「体質」へ改善されたことで株価が急伸した。大型株指数の1番天井は、小型株指数と同じ「3年」サイクル。しかし、大型のダンプカーや大型の戦艦が急に止まることができないのと同じように、大型株の天井打ちは小型株より1年程度時間が余計にかかった。
これを、少し理屈っぽく言えば、たとえば、大型株の代表である新日鉄(発行株式数68億株)は、89年当時にはグループ全体で6万人を超える従業員を抱えていたが、現在は2万人を切るところまで人が減少した。それだけ利益の出る体質へ「構造的」な改善が進んだわけだ。しかし、現在の人員をこれ以上、減らすことができるかといえば、それは無理である。よって、03年当時からのようなリストラ増益はこれから先、大きくは期待できない。今後は、世界景気や日本の景気の変化、つまり「景気循環」の影響を受けることになる。
東西冷戦の終結という地球儀的な「構造改革」は、来年の中国のオリンピックで、ひとつの仕上げの段階を迎える。つまり、鉄鋼需要は大きな盛り上がりのヤマ場を過ぎることになる。この点からも、鉄鋼の業績がこれからもハイスピードで伸びることは期待し難い。
ところで、小型株でも、大型株でも、ピークをつける時は象徴的な出来事が起きるものだ。小型株の時は、ホリエモン、ムラカミファンド問題が引き金だった。大型株の鉄鋼がピークをつけたのも、公園からスベリ台が消えるという異常事態があった。社会悪となるような出来事はだめだ。株だけが社会で存在しているわけではないからだ。
これから相場を見るうえで、日経平均の動きは大切だが、同時に小型と大型株指数の動きを個々にチェックすることが大切である。『先に散った花から先に咲く』の格言があるように、先に天井をつけた小型株が先に底をいれるはずだ。小型株指数は既に、月足チャートで2段下げに入っているが、大型株はやっと1段下げが始まったばかりである。
中国は国土が広い、インド、ブラジルなども将来性がある。オリンピックが終わったあとも元気が期待できる。しかし、今からそれを期待するのは早すぎる。今、それを期待して買いに出れば、上値での売り物がたくさん控えているから、力尽きてしまう。
06年に小型株が天井を打った後の下げが強烈だったように、これから大型株も厳しい状況が予想される。中期投資を考えるなら「小型好業績株」の底値水準を狙うことだ。
2007年08月21日
株式相場は中期の視点で見る、「構造論」から「循環論」へ移行段階、資産を殖やしたいなら「大型株」を避けて好業績「小型株」の研究を
posted by 犬丸正寛 at 15:14
| 株で見る世の中









