相場格言

2016年02月26日

日経平均の2月末24カ月線キープに注目、NYダウはボトムから1100ドル上昇で反落の可能性も=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛の相場展望

 来週(29日〜3月4日)は、29日が2月相場最終日で、日経平均が、「24カ月線」割れを回避できるかどうかが注目される。仮に、24カ月線を下回ると2012年12月以来、3年2カ月ぶりとなって、中・長期相場が上昇相場から下降相場に転じることになる。

 現在、24カ月線は1万7590円前後に位置し、これを上回るにはここから日経平均は約1150円高が必要となる。日銀の新政策が飛び出せば回避は可能だろうが、今の時点では24カ月線奪回はかなり難しそうである。

 24カ月線は、企業業績に対する信頼度を反映したものといわれる。その企業業績に黄色信号が点滅している。海外の事業環境が、中国経済の減速、さらに、中国に影響を受けた新興国の停滞、しかも牽引役だったアメリカ景気にも陰りが見え始め、とくに、日本には円高が直撃となっている。しかも、アメリカでは大統領選挙モードに突入。選挙運動では、TPP反対、日本の円安政策に対する批判などが声高に伝わってきているなど、政治面でも先行きに楽観できない状況だ。

 もちろん、2月に月足が売り転換になったとしてもダマシの可能性はある。とくに、3月に日銀の量的緩和策が出れば、急反発に転じて24カ月線を上抜く可能性はあるだろう。

 足元では、NYダウが1万5500ドル前後でトリプルボトムを形成したことから、チャート好転を支えに1万6700ドル前後に上値を伸ばしている。今後は、ボトムから約1100ドル上昇、G20の評価、上値のフシ1万7100ドル接近などが重なって徐々に上値は重くなる可能性がありそうだ。

 このNYダウに対し日経平均はマイナス乖離が25日まで10営業日続き日経平均の弱い状態が続いている。背景には、(1)日本のGDPの停滞(15年10〜12月期はマイナス年率1.4%)、(2)企業業績の先行き不安などがあるためで、両方の現状を考えると日経平均がNYダウを上回ってサヤ拡大となることは難しそうである。

 3月相場入りという心理的プラス効果もあって、3月上旬までは強調展開が予想されそうだ。しかし、3月決算末に絡んだ売りが出ることも予想されることから徐々に上値は重くなりそうだ。とくに、NYダウは1100ドル上昇していることから反落の芽を含んでおり深追いは慎むところだろう。3月期決算の好業績・好利回り銘柄が注目される展開だろう。
posted by 犬丸正寛 at 13:47 | 株で見る世の中

2016年02月12日

日米とも長期波動で捉える局面、日本は次の政策一手にかかる、10年間で28兆円売り越し余裕の個人の動向もポイント=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛の相場展望

 日米の相場とも長期サイクルの中で捉える局面のようである。先ず、NYダウは2009年から2015年まで6年間上昇した相場の調整、一方の日経平均はNYダウが09年に底入れした後もモタつき、安倍政権が誕生した12年暮れをボトムに上昇に転じ昨年まで3年間上昇した調整局面といえる。

 アメリカはオバマ政権下で3度の量的緩和で経済が再生、NYダウは09年の6469ドル(場中値)から昨年5月の1万8351ドルまで約2.8倍(値上り幅約1万1832ドル)上昇した。そのオバマ政権は14年の量的緩和終了に続いて昨年暮れ利上げに踏み切りオバマ経済政策総仕上げとした。そのオバマ政権が今年交代するのだから、これまでの6年間の上げに対する調整と、次期政権が誰になり、どのような政策を見守るというのが現状だろう。

 アベノミクスも昨年暮れで3年が経過。アベノミクス第1章が終り、続く第2章本格化までの今は休養期間ということだろう。

 調整目安としては、上げ幅の3分の1押し、半値押しが用いられる。NYダウの、「3分の1押し」は1万4391ドル。12日は場中で1万5503ドルまで下げたから、ここから下げるとしてもあと1100ドルほどである。しかも、注目されるのは、12日終値では安値更新だが、場中値では去る1月20日の1万450ドルは下回っていないことである。こうした場中値と終値に違いの出るときは相場が下値水準に来ているケースは多いのである。

 一方の日経平均は12日場中安値が1万4865円と、12年暮れの9946円から15年6月の2万0952円まで2.1倍(上昇幅約1万1000円)上昇に対する、3分の1押し水準を既に下回り、さらに、「半値押し」(1万5449円)さえも下回っている。明らかに、NYダウに比べ動きが弱い。なぜだろうか。

 アメリカは3度の量的緩和を実施し景気に大きい効果をもたらしたが、日本の場合は、今回、マイナス金利政策を打たなくてはいけないほど金融面からの策が限界に来ているとみられている。これが、日経平均の下げを大きくしているといえる。とくに、アメリカは景気面への配慮でオバマ政権で続いたドル高を続けることはできないからドル安政策に傾いているであろうことは予想される。ドル安の裏返しで円高が日経平均の下げを大きくしていることは言うまでもない。これからも、ドル安・円高がつづくと日本株の重しになる。

 日米とも景気・企業業績に頭打ち感が出ているが、しかし、日米とも直ちに急速に悪化するということではないだろう。足元のEPSは日米ともまだしっかりしている。課題は、今後、景気に対しどのような策が打ち出されるかである。

 アメリカの場合、政権交代までの空白期間を考えると大きい策は考え難い。ドル安を容認する政策にとどまるのではなかろうか。日本はアベノミクス第1章に比べ第2章はパンチ力に欠ける印象は避けられず、もう一度の量的緩和は予想されるがどこまで効果があるか大きい期待は難しそうである。もしも、このまま、円高が進むようなら日経平均の上値は厳しくなり戻り売り基調が鮮明となりそうだ。

 ただ、日本の企業業績は足元ではしっかりしており、仮に、17年3月期が不振見通しとしてもそれが表面化する5〜6月までは時間的余裕がある。アベノミクス第1章で潤った企業の増配が相次いでいることから利回りはアップし魅力的となっている。2016年3月期の高利回り銘柄の配当取りは注目してよいと思われる。

 とくに、この10年間で約28兆円売り越し余裕のある個人投資家が、この下げで再び買いに出てくるかどうか大きいポイントとなりそうだ。そのためにも、安倍総理の先行きに希望と夢を与える思い切った政策がよりいっそう求められるところだろう。
posted by 犬丸正寛 at 13:39 | 株で見る世の中

2016年02月05日

引き続き「円高」の行方を見守る展開、決算発表一巡でテーマ株に物色の矛先が向かいそう=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛の相場展望

 来週(8〜12日)の相場は、アメリカの企業業績頭打ちが鮮明となるなかでドル安・円高の推移を見守る展開だろう。NYダウベースのPERは1月20日頃には14倍台前半だったが、足元では17倍台半ばへ上昇している。株価がほとんど同水準の中ででPERが上昇していることはEPSの低下、すなわち企業業績が悪化しているものとみられる。

 経済再生で成功したオバマ政策の副作用で発生したドル高の影響が現れているのではないかとみられる。もちろん、中国の影響もあるだろう。このため、利上げを決定した米景気の頭打ち懸念に対してはドル安政策ということになるのだろう。今夕発表の1月分の雇用統計が好調なら、ドル安はひとまず止まる可能性はありそうだが、もしも芳しくない数字ならNYダウ安とドル安が進む可能性がありそうだ。

 日本の企業業績にも先行き見通しが厳しくなっている。幸い、5日に決算を発表したトヨタ自動車(7203)は売上、営業利益について今期見通しを据え置き、純利益については増額してEPSを従来予想の713.7円を723.6円とした。加えて、自社株取得も発表した。

 このトヨタの決算発表で短期的には業績の材料は相場に織込んだものとみられる。ただ、今度の第3四半期決算では、中国経済の減速、円高の影響が色濃く現れた。中国経済は減速局面から停滞局面入りの心配があり、今後も日本の企業業績にはマイナスが予想され、さらに、円高も続くようなら次期(2017年3月期)の減益可能性が浮上する心配がある。

 ただ、今の時点で次期業績を材料視するのは早すぎるように思われる。むしろ、円高が進むようなら、マイナス金利政策に続いて日銀の第3次量的金融緩和が見込めることとなりそうだ。来週の日経平均は今週の下げを受け継いで去る1月21日の安値1万6017円に接近する場面は予想されそうだが、下回ることはなさそうだ。

 物色銘柄は、アベノミクス第1章で活躍した輸出関連銘柄から、徐々にアベノミクス第2章の中心になるとみられるバイオ医薬、ロボット、農業、地方創生などに関連した銘柄に移っていくものとみられる。マイナス金利で預金金利の引き下げなどから個人マネーが株式市場へ動き始めているようである。来週の日経平均は1万6500〜1万7500円ていどを想定。もちろん、量的緩和が出れば予想水準は上回るとみている。
posted by 犬丸正寛 at 16:38 | 株で見る世の中

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