信金中央金庫<8421>(東証上場)中平幸典理事長に出資証券について聞く
都銀、地銀上回る7719の店舗数で金融市場で存在感一層高まる
信用金庫業界が金融市場における存在感を一層強めて来ることになるだろう。既に、預金残高が9月末で113兆円と都銀、地銀に次ぐ規模を有し、とくに店舗数において7719カ店と地銀、都銀などを大きく上回っていることから、これから到来する本格的な間接金融から直接金融において、個人を中心とした展開で強さを発揮できるからだ。
信用金庫のセントラルバンクとして経営をサポート
−−後ろ向きの合併は終息
東京証券取引所に出資証券を上場している信金中央金庫<8421>(東証上場)とは、いったいどのような組織なのかについて、信金中央金庫の中平幸典理事長に説明してもらおう。「全国287信用金庫の中央の金融機関です。われわれは基本的に2つの大きな役目があります。1つは信用秩序の維持、2つ目は業務機能の補完です。信用金庫全体で113兆円の預金残高があり、このうち19兆円を信金中央へ預け、それに対し金融債を発行しています。信金中央金庫は27〜28兆円の資産を運用、この運用益で信用金庫の支援と出資者へ配当を行っているのがビジネスモデルです」。
同社が全国287の信用金庫に対しどのような支援を行っているのか。引き続き中平幸典理事長に説明してもらおう。「まず、信用金庫の経営力強化支援があります。信用金庫経営力強化制として経営相談制度と資本増強制度があり、資本増強制度等にもとづく資本供与額は今年9月末で29金庫で2491億円です。うち劣後ローンは1056億円ですが、信用金庫の経営・財務改善に伴い過去に供与した劣後ローン等を返済する金庫も出てきています。次に信用金庫に対する業務支援ですが、これ多岐にわたっていますが、最近における特色あるものとしては、信用金庫向け商品の拡充(SCB延長特約付定期預金など)、信用金庫の融資業務サポート(機械・設備などの動産担保融資など)、信用金庫の資産・負債全体のリスク管理の支援、有価証券ポートフォリオ分析などです」。つまり、個々の信用金庫ではできないこうした業物支援を同社が行っている。もちろん、信用金庫業界にもバブル崩壊の影響は大きかった。1996年には416あった信用金庫は07年9月末で287金庫(現在284)まで129も減少した。経営の悪化で合併が続いたためだ。しかし、「後ろ向きの合併は終息した」と中平理事長が強調されるように、信用金庫の体質はすばらしく改善され、自己資本比率は9月末で11.96%と地銀(10.13%)、第二地銀(9.60%)を上回り都銀(13.71%)に次ぐ好内容を誇る。後ろ向きから前向きの攻めの場面にあるわけだ。
こうした全国の信用金庫のセントラルバンクである信金中央金庫は役職員数1086人、国内13店舗、海外4拠点、総資産28兆円。2008年3月期は経常収益4420億円(07年3月期3697億9000万円)、経常利益540億円(同544億7300万円)、配当年1万3000円と極めて好内容なのである。
もう一度、中平幸典理事長に締めをお願いしよう。「1990年以降の動揺期は業界としては経営困難がありましたが、今では経営改善が進み安定しています。若干利ザヤが縮小していますが経営は健全です。一方で運用環境は変化しています。長期金利が低下局面では国債のウェートが高くなりますが、現在の局面では国債偏重は良くないためある程度リスクを取るスタンスで分散投資に、それも一気にでは段階的に取り組んでいます。今度のサブプライムローンでも80億円台の損失にとどまっています」。
今度の商品金融法についてお伺いしますが、中平理事長はかつて行政の経験がおありですが、どのような印象ですか。「新しい法律ができると慣れるまでは時間がかかります。行政にいたと言いましても、もう20年も前のことですが、当時インサイダー取引規制の法律をつくった時にも、何が良くて何が悪いか、分らなかった。私どもの業界では投信のところで少し影響が出て来年3月末に投信残高1兆円と申し上げてきましたが若干ズレ込むとおもいます」。
もともと、地域密着型で個人へじっくりと説明して営業を行うのは信用金庫のもっとも得意とするところ。今度の金融商品取引法施行は、むしろ同社にとって力を発揮するチャンスである。









